学生によるSDGsの取り組み「住み続けられるまちづくりを」達成に挑む!

2021.2.16学生の取り組み

昨年(2020年)、日本建築学会が主催する「グローバル人材育成プログラム」に参加した工学部建築デザイン学科4年生工藤 聖奈さん、木本 多美さんの取り組みを紹介します。
本プログラムは世界で活躍しようという志を持つ学生に対し、世界で建築をつくる活躍の場の実情や将来の方向性等について、基本となる認識や最新の情報等を獲得できる機会を提供することを目的に毎年開催されているプログラムです。建築デザイン設計を学ぶ工藤さんと建築構造を学ぶ木本さん、それぞれが考える「住み続けられるまちづくり」とは?

 

―木本さん、工藤さんは本学の工学部建築デザイン学科でそれぞれ設計や構造を学んでいますが、建築に興味をもったきっかけを教えてください。

工藤:小さいころから住宅のチラシを見るのが好きでした。私の通っていた中学校では卒業時に卒業論文を書くことになっており、論文では、建築について調べたことをまとめ、まとめたことを基に簡単な設計提案をしました。論文を書くことは楽しかった一方、設計はとても難しく、学問として建築を学んでいきたいと思い始めました。その後中学卒業論文のテーマに関連した建築の環境面に関しての論文を読んでいくうちに金正秀先生の研究室に興味を持つようになりました。

アメリカ・シカゴ郊外の「フランクロイドライド自邸兼スタジオ」にて

 

木本:父が施工管理として働いており、現場に足を運ぶ機会がありました。巨大な建造物を一から造って建てていくことに魅力を感じ、興味を持ちました。また2011年の東日本大震災の際、自分の通っていた中学校が古くてかなり揺れ(東京は震度5弱) 、その経験もより建築に興味を持つようになったきっかけだと思います。

東京都目黒区にある「日本民芸館西館(旧柳宗悦邸)」にて

 

―「グローバル人材育成プログラム」に参加した理由、海外で働くことへの興味など教えてください。

工藤:昔から実家でホストファミリーをしており留学生と話す機会が多く、また姉と妹が高校生の時に留学していたことから海外が小さいころから身近にありました。今まで海外が好きという想いしかなく、建築と結びついていませんでしたが、建築を通して海外で仕事をしている方の話を聞き、 2年後の就職活動に向けて海外も選択肢の一つにできる機会なので参加しようと思いました。

フィンランドからの留学生と

 

フィリピンからの留学生と

 

アメリカモンタナ州グレイシャー国立公園内にある山奥のロッジにて

 

木本:アメリカの大学院へ進学した姉へのあこがれが強かったことがまず一番です。当時、建築についてまだ知らない中学生の私にとって、英語をペラペラ話せるとかっこいい印象がありました。実際、私も中学3年生から4年間アメリカへ留学しました。その経験を活かして、ゆくゆくは日本の地震の対策・技術を他の国に対して自ら発信していきたいと思い、今回のプログラムへの参加を決めました。

 

アメリカ・ジョージア州のお化け屋敷にて

 

高校で所属していたバレーボール部

 

アメリカ・コロラド州デンバーにて

 

―今回のプログラムへ実際に参加してみてどのように感じましたか。

工藤:新型コロナウイルスの影響で今回のプログラムはすべてオンラインによる実施となり、1グループ6人+メンター2人で「1時間講義、1時間グループディスカッション、1時間発表・講評」の計3時間を1セッションとして、計4セッションを2日にかけて行いました。学年、国籍が異なる初対面の人とZoomの中で意見を出し合い、まとめ、発表までもっていくことが非常に難しかったです。対面と違ってメンバーの雰囲気や話し出すタイミングなどがわからず、苦労しました。そのような状況でも「瞬発力」が大事な力のひとつだと学びました。初対面の人とすぐに意見を交わせるようにすること、時間内で意見を伝えてまとめていく力が必要だと思いました。またいろんな世界の建築の事例を知らないことが多かったので、私自身がもっと勉強する必要があると感じました。

木本:今回、すべてオンラインでグループワークやプレゼン行うという、普段とは異なる環境下での作業だったため、少しやりづらさを感じました。やはり議論の際、6人が全員違う意見を持っていることが多く、それをまとめあげることが大変でした。6人のうち、だれの意見をメインの軸として計画をしていくか、また残りの5人が納得するのかという議論をしていくうえで、相手に自分の考えを正確に伝える力が足りていないと感じました。私がAと伝えても人によってはBと捉えられてしまう場合もあるので、まずAとしてとらえてもらうにはどうしたらいいのか。このような意識を常に持つようになりました。今回のプログラムを通して、他のメンバーの意見から私の発想力が豊かになったり、実際、海外で働いている建築家の方の仕事を見ることができ、より海外で働くイメージを掴むことができたと思います。

 

―SDGsの「誰一人取り残さない」という理念が本学の建学の精神や「ブランドステートメント」と軌を一にすることから、武蔵野大学では全学的にSDGsを推進しています。
SDGsの目標「11.住み続けられるまちづくりを」に関して、工藤さんは学んでいる内容や活動から「住み続けられる」とはどのような意味だと思いますか?

工藤:私は「何十年か先を見据えて課題を予測し、建築デザインでそれらを解決できる社会」を作ることが「住み続けられるまちづくりを」だと思っています。国内での空き家の増加、都心での治安やプライバシーの問題、最近では新型コロナウイルスで生活様式の変化など様々な問題や課題があります。このような問題や課題を一つ一つクリアしていくと同時に、新たな問題がおきても柔軟に対応できるよう、先を見据えた設計が必要になってくると思います。

 

―SDGsの目標「11.住み続けられるまちづくりを」に関して工藤さん、木本さんはどうしていくことが必要だと思いますか?

工藤:住み続けられるまちづくりを進めるためには、近年弱くなっている地域のつながりや帰属意識をどう維持していくか考えていく必要があると思います。例えば、以前は過去の先人たちの手で造られ、利用することで暮らしに身近だった用水路(上水)が、生活様式や都市の変化とともに今は利用されていなかったり、行政による保存や保護が中心となっている状況も見受けられます。そのような地域にあるモノにアートを付随させた新しい役割を与えることで、地域と人のつながりを強くすることができるのではないかと計画を考えています。

木本:継続的に住み続けるために、建てていく期間や順番、時期を考えていく必要があると思います。今のまちは住み続けられますが、あまり風景に変化がないと感じます。例えば、近い国でいうと中国や韓国は近代化を国の目標として掲げています。ソウル、上海、香港などは映画で見るように高層ビルで覆われていますよね。一方、東京は高度経済成長期に一気に建物が増えたことにより、立て直しも同じ時期に重なってしまい、40年ぐらい風景が変わっていません。仮に地震などの災害による被害があった場合、一気に住み続けられなくなってしまいます。立て直しをするにしても日本の経済状況や、50年前よりも少なくなっているヒューマンパワーにも課題は広がっていると感じます。

 

―2030年のSDGsの目標達成に向けて今後、自身で取り組んでいきたいことを教えてください。

工藤:高校生の時に初めて「SDGs」という言葉を知ったときはいつか達成するだろうという、遠い存在でした。大学4年生になって卒業設計をしていく中でその目標が近い存在になり、今後建築に関わる仕事をしていく際、「11.住み続けられるまちづくりを」という目標を達成していける一員になれると実感しています。
2021年4月から大学院に進学して、社会・地域の問題点や課題を見つけて研究していきたいと考えています。災害時の人の流れや環境に良い地域のつながりなど、いろいろなテーマに興味があるので、いろいろなテーマを複合的に考え、社会に役立つような地域コミュニティの提案をしていきたいと思います。

 

木本:最近よく、SDGsがTVなどで取り扱われているのを目にします。ただ、とても規模が大きいものなので私一人が変えたところで、周りが変わらないと現状のまま進んでいき、何も変わらないと感じてしまいがちです。まず個人で思いをもった人たちがコア(中核)となって集まり、広めていくことが必要だと思います。
2021年4月から大学院に進学し、空間構造物に関する耐震に関して研究を行う予定です。地震の少ない国では避難所という概念自体がない場合もあります。そういった国で地震が起きた際、シェルターの役割になるような建物を提供できる技術を開発できたらと思います。 まずは人命を最優先にすることで、地震などの災害によって壊滅されたまちをもう一度造ることができ、「住み続けられるまちづくりを」につながると考えます。

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