学生によるSDGsの取り組み「東北での学習支援を通して広がる笑顔」~僕らの夏休みProject~

2021.6.30学生の取り組み

大学生ボランティアプロジェクト「僕らの夏休みProject」に携わっている教育学部教育学科3年生林 祐加さんの取り組みを紹介します。

このプロジェクトはすべての子どもたちが夢や希望を持ち、笑顔で過ごせる社会をビジョンに活動しており、毎年忘れられない夏の思い出を作ってもらおうと勉強(実験なども含む)やレクリエーションを東北地方の小学校に訪問し実施しています。林さんが考える「質の高い教育」とは?

 

―林さんは本学の教育学部教育学科で中学校・高等学校教諭免許(英語)が取得できる英語コースで学んでいますが、英語に興味をもったきっかけを教えてください。

もともと私は日本史に興味があり、日本史を勉強していく中で、一つの問題に対して多方向の見方や考え方をもっと知りたいと思うようになりました。特に日本で起きた「原爆」についてアメリカ人はどのように考えているのか、アメリカの学校ではどのように教えているのか興味を持ちました。留学して多方向の見方を得たいという思いから、英語を学ばないといけないと感じ、今に至っています。新型コロナウイルス感染症の影響で予定していた留学が延期になっていますが、在学中に留学する予定です。

 

―林さんが活動している「僕らの夏休みProject」とは?

僕らの夏休みProject」は一般社団法人ことばの下、大学生がボランティアで運営している1つのプロジェクトです。2011年3月11日に起こった東日本大震災をきっかけに発足し、すべての子どもたちが夢や希望を持ち、笑顔で過ごせる社会をビジョンに活動しています。

関東圏には15支部あり、武蔵野大学支部には50名(2021年2月時点)の学生が所属しています。忘れられない夏の思い出を作ってもらおうと授業(実験なども含む)やレクリエーションを東北地方の小学校に訪問し実施しています。

兄(武蔵野大学教育学部2021年卒)も同団体に所属していたことからこの活動を知りました。私も活動を通して経験を積み、子どもたちに寄り添える教師を目指したいと感じ、携わるようになりました。


僕らの夏休みProjectの紹介動画

 

林さんの兄(一番手前)も(武蔵野大学教育学部2021年卒)も同じ団体で活動をしており、興味を持つようになった

 

武蔵野大学支部の学生たち(いろいろな学部から集まって活動している)※2019年に撮影

 

―プロジェクトへの参加を通してどのようなやりがいや成長がありましたか?

2019年の夏、私はある小学校でメインイベントである運動会の種目「玉入れ」の企画を担当することになりました。どこでもできる玉入れではなく、僕たちの夏休みProjectだからできる玉入れを試行錯誤し、果物のイラストや傘を活用した新しい形の玉入れを考えて実施しました。私が時間をかけて試行錯誤した玉入れを楽しんでいる子どもたちの自然な笑顔や仕草を見たり、運動会の中で玉入れが一番楽しかったという声を聞き、とてもやりがいを感じました。「僕らの夏休みProject」だからできた玉入れを子どもたちに提供できたと思います。

また昨年は新型コロナウイルス感染症の影響によりオンラインでプロジェクト活動を実施しました。対面とは違うオンライン特有の難しさがあり、とても苦労しましたが、子どもたちが楽しんでいる姿をみて、コロナ禍でも私たちにできることがあると感じています。

活動を始めて2年余りですが、私自身「相手の立場を考えて行動すること」をより意識するようになりました。活動自体、震災をきっかけにできたこともあり、地震や津波などを連想させる発言や行動をしないように注意したり、また自分が今住んでいる、あるいは育った環境が当たり前と思わず、それぞれの立場を考えて行動しています。私はマニュアルを第一に考えて行動してしまいがちなので、物事をもっと柔軟に考えて違う角度やオリジナリティのあるアイデアなど、多方向な見方ができるようになりたいです。

試行錯誤した玉入れは「きれいなケーキをつくろう」と種目名で実施した

 

プロジェクトでは職業体験なども活動で実施している(TV局の職業体験)

 

―SDGsの目標「4.質の高い教育をみんなに」に関して、林さんは「質の高い」とはどのような意味だと思いますか

「これからを生きる力を身につけること」だと思います。私もそうだったのですが、教えられたことを暗記するだけでよい成績がとれていました。でも暗記だけだと学んだことに対して応用が求められたとき、どのような力が発揮できるのかわかりません。

現在、私は小学生にプログラミングを教えるアルバイトをしており、子どもたちが前に使った考え方や学んだことを活かし、そこに新たなアイデアを加え、プログラムしていく様子を見ています。すぐにできることではないですが、応用する練習を繰り返すことが大切だと思います。同じように基礎や基本的知識を学習することに加えて、自分で物事を考える力、なんでこうなるのだろうと疑問に思う力、学んだことを色々なところで活かしていく力を身につけられることが質の高い教育につながると考えています。

 

―SDGsの目標「4.質の高い教育をみんなに」に関して林さんはどうしていくことが必要だと思いますか

教師と児童・生徒のかかわりを深くしていくことが必要だと思います。現在、現場の教師への負担が大きく、長時間労働や休日返上での業務負荷が問題になっています。教師が自分のことで精一杯で児童・生徒との係わりを深く持てないことから教師に相談しにくい状況が生まれ、子どもたちの間でいじめがあっても教師同士のコミュニケーションや情報交換をする余裕がないことから、エスカレートしてしまう事例があると授業で学びました。

教師1人にかかる仕事量が多いと他のことに目を向けることが難しいため、教師が1人でなんでもしないといけないという状況を改善していくことがまず必要だと思います。

 

―2030年のSDGsの目標達成に向けて今後、自身で取り組んでいきたいことを教えてください

私が考えるこれからを生きる力(物事を考える力・疑問に思う力・活かしていく力)を子どもたちが身につけられるよう、教師の負担が軽減されるサポートがしたいと考えています。2020年に学習指導要領が10年ぶりに改訂され、小学校では「外国語教育」「プログラミング教育」が必修となり教師の負担がさらに増えています。

例えば、教科書に「なぜ」という問いをもっと増やすことで、授業の指導案作成や授業準備の負担を減らすことができると考えます。単に教科書の違うページから答えを見つけられる問いではなく、児童・生徒が以前学習した内容を活かし考え、学んだことを活かす問いを記載すれば質の高い授業、教師の負担軽減につながり、教師と児童・生徒の係わりが深くなることで学校がもっといい環境になると思います。今後、卒業するまでにどのようにして教育に携わっていくのかよく考えていきたいです。

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