空き家調査で地域社会に貢献 ~武蔵野地区空き家等状況調査~

2020.07.31

法学部・法学研究科法律学科政治学科

  • 法学部 法律学科

    竹之内一幸

本学では、学外学修プログラム「フィールド・スタディーズ」(必修科目)において、1年生2,000人以上が国外や国内各地を訪れ、フィールド・ワークや地域活性化支援等を実践し、自身の専門分野と社会とのつながりを体感する学外学修の授業を展開しています。

そのプログラムの一つとして「武蔵野地区空き家等状況調査」を実施しています。武蔵野市、西東京市、小金井市の3自治体と連携して行うもので、市内をいくつかのエリアに分け、学生がエリアごとに空き家等の現地調査を実施し、地域の課題を含め、現況報告書を作成していきます。また、状況調査の結果を踏まえ、モデルとなる空き家を対象に、利活用提案を行っています。

空き家問題については、全国規模で大きな問題になっており、2018年に行われた調査では全国の空き家率は13.6%でした。各自治体もこの問題に取り組んでいますが、頻繁に実態調査をすることは難しく、武蔵野市、西東京市、小金井市は本学と協力してこの問題に取り組むことになりました。武蔵野市と西東京市とは2018年度から、小金井市とは2019年度から連携を開始しています。

プログラムは事前授業、フィールド・ワーク、プレゼンテーションに分けられます。事前授業では、各自治体の担当職員から空き家調査に関する基礎データの提供を受けるだけでなく、調査時間や調査場所などに関する具体的な事項の確認、学生が行うプレゼンテーションについての要望などが示されます。また、空き家問題へ取り組む非営利活動法人の代表を招き、行政と連携した空き家対策や空き家の利活用の事例について、説明を受けました。空き家を実際に調査する際には、学生たちが住居侵入やプライバシー侵害等の違法行為、不法行為の問題に巻き込まれないようにするため、行動規範については、より詳しく説明を行っています。実際の調査を行う際には、本学の活動であることの証として、大学名の入ったキャップを作製し、着用して調査に臨みました。

現地に赴いて空き家を調査するフィールド・ワークと各自治体へのプレゼンテーションは5日間の日程で実施しました。初日からの4日間は午前中に現地調査、午後には調査内容についてグループごとに整理をしていきました。最終日には午前中からプレゼンテーションの準備をし、午後には各自治体担当者へのプレゼンテーションを行いました。

空き家活用のプレゼンテーションでは「期限内に空き家の解体もしくは再利用を行えば、減税を行う」、「解体費を国や自治体が費用負担する」などの提案がなされました。各自治体の担当者からはプレゼンテーションへの総評だけでなく、提案内容の実現可能性についての指摘や、提案に対し前向きに検討するなどの意見をいただきました。各自治体も実態調査の必要性は認識しつつも、費用などの点で十分な調査が行えていない面もあり、本学の「武蔵野地区空き家等状況調査」は、各自治体にとっても貴重なデータや学生提案の利活用案を施策の参考にするための有用な場となっています。

法律学では、法令、判例、文献・判例等の研究が一般的な方法論ですが、学生はフィールド・ワークを体験することで、法社会学的なアプローチを取ることができるようになります。このことは学生が柔軟な思考を身に付けることにもつながっています。

空き家問題には、多くの学問が関連します。法律学、社会学、経済学、都市工学、建築学などがそうです。その解決には理論的アプローチのほか、実務的アプローチが必要であり、弁護士、司法書士、行政書士、不動産鑑定士、宅地建物取引士などの法律家がその役割を担っています。また、市民と最も近い場所で空き家問題に接するは自治体の職員であり、公務員志望の学生にとっては、実社会の現場に触れることのできる貴重な機会にもなっています。空き家調査は空き家の未来を創造し、住み続けることのできる街づくりを考える場ですが、この取組みに参加している学生たちの将来につながる活動になっていくことが、このプログラムのもつ重要な役割の一つといえます。

担当者

  • 法学部 法律学科

    教授

    竹之内一幸

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