武蔵野大学で健康づくりの輪を広げる取り組み
「むさしの健幸アンバサダー」とは
~自分自身と周囲の大切な人の“健幸”を創り出す力を高めるために~

2022.05.17

看護学部・看護学研究科看護学科

  • 看護学部 看護学科

    中板 育美

  • 看護学部 看護学科

    田中 笑子

取り組みについて

「むさしの健幸アンバサダー」とは、武蔵野大学しあわせ研究所の看護を専門とする研究者を中心に2021年7月にSDGsのターゲット目標3「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」に関連して発足したプロジェクトです。

看護学部看護学科の中板 育美教授と田中 笑子講師、看護学科生33名による「むさしの健幸アンバサダー」プロジェクトの取り組みを紹介します。

 

取り組みまでの経緯

国が行う様々な健康増進政策のひとつである「健康日本21」では、日本全体の健康社会実現に向けて、健康寿命の延伸や健康格差の縮小を目標とした取り組みを行っています。

超高齢社会において生じる健康と社会保障の問題を解決し、SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」届けるためには、人々が自ら健康づくりに向かい、その先の幸せを実現できる政策的取り組みが求められます。

しかし現在、将来の健康課題を正確に理解し、自ら積極的に行動しようとする人ばかりではありません。そのため「健幸」な国づくりに向けて、健康に関する正しい情報を身近な人に伝える政策的な取り組みがますます重要になっています。

その一つとして、スマートウエルネスコミュニティ協議会では健康に関する正しい知識などを身近な人に伝え、健康づくりの輪を広げる健康の伝道師「健幸アンバサダー」を全国に養成し、企業や自治体と連携した活動を進めています。

本学でも自分自身と周囲の大切な人の“健幸”を創り出す力を高めることを目的に2021年7月から「むさしの健幸アンバサダー」プロジェクトを開始しました。

 

取り組み内容について

■ 健幸づくりに関する講演会および健幸アンバサダー養成講座を開催

第1弾キックオフイベントとして、株式会社タニタヘルスリンクによる「Health for All 企業がとりくむ健幸づくり」についての講演会を開催し、同日に「健幸アンバサダー」養成講座を開講しました。

コロナ禍で生活習慣病の予防やメンタルヘルスに注目が集まっている中、身体も心も健幸になれる環境づくりについて学べる機会を教職員に提供し、「企業がとりくむ健幸づくり」をテーマにインストラクターから健幸情報を大切な人の心に届ける技術について学びました。

健幸アンバサダー認定講座受講の様子

 

■ 「包括的性教育」をテーマにしたパンフレットを制作し、全国の24,000人の健幸アンバサダーに配布

むさしの健幸アンバサダーとして活動する学生たちは教職課程や保健師課程を専攻しており、実習を通して地域で生活する様々な年齢、立場の人々との出会いから虐待やDV、ハラスメント防止への思い、メンタルヘルスへの関心を高めていました。

対象者の健幸に思いを馳せ、自分自身や身近な人の健幸にも関心を向けながら、話し合いを重ね、子ども達の将来にわたる健幸や身近な人々の健幸のために「みんな違って、それぞれに大切」という性の多様性や平等、心身の発達、ウェルビーイング(幸福)などに関する健康情報を届けたいという想いから「包括的性教育」をテーマにしたパンフレットを制作することにしました。

パンフレット初案をもとに全員でディスカッションしている様子

 

ポスターセッションで各グループが出した案

 

パンフレット制作に当たり、学生は国内外の性教育について調べ、ディスカッションを重ねる中でこれまでの互いの経験や自分たちの心の内にも耳を向け、制作を行った

 

パンフレットでは「性教育」という言葉に身構えてしまう保護者の現状にも心を寄せながら、愛情を伝えるという日々のかかわりについても説明

 

学生が制作したパンフレットには「自分達も包括的性教育を受けたかった」、「保護者や学校の先生など、身近な人を通じて性教育は、『性』と『生きる権利』を守ることだと伝えて欲しい」という願いがこめられています。
「性教育」を取り扱い、かつ学生が制作したパンフレットは、スマートウエルネスコミュニティ協議会から初めて承認を受け、24,000人(2022年1月末時点)を超える健幸アンバサダーやサポーターである自治体、企業に配布されました。

また、これらのむさしの健幸アンバサダーの取り組みが健康格差の縮小に寄与したことが評価され、スマートウエルネスコミュニティ協議会より「団体部門 最優秀賞」を受賞しました。

 

 

SDGsにおけるむさしの健康アンバサダーの役割とは

専門家ではない学生が、健康情報を、自分にもわかる言葉で、わかりやすく隣の人や大切な人に届ける活動は、自ら健康に関心を持つ人を広げていく役割を果たします。

中板教授、田中講師:

SDGs目標3「全ての人に健康と福祉を」は、あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を目指したものです。健康と福祉の充実は、心も体も満たされた豊かで幸せな社会の実現につながっているために重要です。一方、国民の7割は健康に無関心であることが指摘されており、健康意識と行動を繋ぐには、豊かなコミュニケーションが行き交うコミュニティーと心に届く情報伝達技術の重要性が報告されています。

健康というと医療の専門分野と思われがちですが、人々の健康は、暮らしと共にあり、医療との結びつきよりも、個々人の生活や労働、人々との関係、そして生き様や価値観と関連します。健幸アンバサダーは、差別されることのない健康を「共に創りあう」関係性を基盤に、健康科学に基づく情報媒体をつくり、広める活動を行っています。健幸アンバサダーです。生活習慣病予防や感染性疾患の予防に若い世代からの取り組みが注目される中、誰もが公平に生きられる社会に向けて、自分にできる一歩です。

担当者

  • 看護学部 看護学科

    教授

    中板 育美

  • 看護学部 看護学科

    講師

    田中 笑子

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