子育て支援施設「0123吉祥寺」で親子向けのワークショップを企画・開催~保育に大切なコミュニケーションの場を作る~

2023.05.17

教育学部・教育学研究科幼児教育学科

  • 教育学部 幼児教育学科

    松田 こずえ

取り組みについて

幼児教育学科4年生 黒木 咲良さん、高阿田 麻衣さんの取り組みを紹介します。2人は松田 こずえ講師のゼミナール(以下、松田ゼミ)で保育学や子育て支援について学ぶ学生です。今回は松田ゼミでの学びを活かし、他のゼミ生3人と子育て支援施設「0123吉祥寺」で親子向けのワークショップ「おそらのめいろ」を企画、開催しました。

 

親子向けワークショップ「おそらのめいろ」について

「おそらのめいろ」は2022年11月24日に東京都武蔵野市にある子育て支援施設「0123吉祥寺」で開催しました。「0123吉祥寺」は武蔵野市に住む0歳から3歳の子どもとその家族を対象に、遊び場の提供、催し物の開催、子育て相談などを行う施設です。今回のワークショップでは、学生が施設の一部を「空」や「虹」などのテーマに合わせて装飾するとともに、子どもたちがわくわくするような蛇腹型の「迷路」や、肌で温かみを感じられる布を使用した「布プール」などを製作し、設置しました。当日は約30組の親子がワークショップに参加し、学生と親子が交流できる時間となりました。

手作りのポスター

 

「おそらのめいろ」開催までの経緯と活動内容について

■松田ゼミについて

松田講師は子どもたちを取り巻く環境に焦点を当て、海外の保育および、おもちゃや絵本、保護者支援、子育て支援等の観点から保育、幼児教育を研究しています。子育て支援に関する研究を通して「0123吉祥寺」と関わるようになり、施設の方との話し合いを通じて、学生企画のワークショップの開催をゼミナールの活動に取り入れることになりました。今回のワークショップを行った3年生は、新型コロナウイルス感染症拡大予防の観点でオンラインでの授業から学生生活をスタートさせた学年であり、実際の経験が不足していると考えられました。今回のワークショップの活動を通じて、本番の実施日だけでなく、実際に自分たちで企画を立て、施設の先生方との対話を重ねながら準備をする過程を学びにつなげることをねらいとしていました。

松田ゼミ(2022年の夏合宿)

 

――なぜ「おそらのめいろ」を企画したのか

黒木さん:松田ゼミの活動で別の子ども向け施設に行った際、たくさんのハンモックが重なり合った迷路のような遊び場を見学しました。これをモチーフに発想を広げ、0~3歳の子どもでも楽しめる蛇腹型の迷路を企画しました。「空」や「虹」をテーマとしたのは、カラフルな可愛らしい遊び場は、子どもたちの興味を惹きつけると思ったからです。

高阿田さん:布を使った「布プール」を製作したのは、施設の方からコロナウイルス感染防止対策として布製のおもちゃを撤去しているというお話を伺ったことがきっかけです。0~3歳のこどもにとって、肌で温かみを感じられる布製のおもちゃは大切であるため、撤去せざるをえないことを残念に思いました。1日限りのワークショップであれば布を使用することが可能であると考え、提案しました。

会場の様子

 

カラフルな布を使用した「布プール」

 

■活動内容

松田ゼミに所属した2022年4月に、0123吉祥寺でワークショップを開催するという話があり、5人のメンバーで企画を始めました。ゼミでは別内容の授業も並行していたため、本格的に取り組みを始めたのは9月からです。時間がない中での準備となりましたが、施設の方と相談しながらおもちゃと装飾物の製作に取り組みました。

空き時間も使用しておもちゃと装飾物を制作

 

学生の製作物(一部)

左:おそらのめいろ入り口、右:蛇腹型の迷路

 

迷路には50個の牛乳パックを使用

 

おそらのめいろ出口

 

――実際に開催した感想

黒木さん:当日は緊張しているのか迷路の入り口のドアを開けず、遠くから見ている子どもが多かったです。子どもたちに「お母さんと一緒に迷路に入ろう!」と声をかけると、徐々に親子で楽しむ姿を見ることができました。親子を支援している施設なので、親子で一緒に遊べるワークショップを企画できて嬉しかったです。

高阿田さん:準備時間が少なかったので、おもちゃの製作が一番大変でした。保育を学んでいるので、おもちゃを手作りした経験はありますが、大きいものを短期間でたくさん作ったのは初めてです。保育実習の前の忙しい時期であったため、メンバーと協力しながら進めました。当日は多くの親子が集まり、子どもたちの笑顔を見ることができました。私たちが製作したポスターを見て参加された方もいて嬉しかったです。保護者の方からは普段関わる事の少ない学生と子どもが一緒に遊ぶ場ができて嬉しいという声もいただきました。

当日の様子

 

活動を通して学んだこと、今後取り組んでいきたいこと

黒木さん:当初計画していた迷路は布が複雑に絡み合ったものであったため、施設の方から引っ張ったり、首に巻いたりという危険があることをご指摘いただきました。そのため、迷路を蛇腹型のトンネルに変更し、追加で布プールも製作することになりました。自分たちでは思いつかないような危険が子どもの過ごす場にあることを学びました。日頃から子どもがどんな動きをするか予測し、共有しておくことが大切であると思いました。また今回、おもちゃの製作期間に施設の方との情報共有を綿密に行い、たくさんのアドバイスもいただきました。その結果、大きな問題なく企画を終える事ができたので、物事を丁寧に進めていくことの大切さを学びました。

高阿田さん:保育実習では保護者の方と関わる機会がほとんどないため、今回は親と子と同時に関わるという貴重な経験ができました。将来保育者や子どもと関わる仕事に就いたときにこの経験を活かせると思います。また、ワークショップを通じて、手作りおもちゃを作る際のアイディアを得ることができました。保育実習先でも、先生たちが作ったおもちゃで子どもが遊ぶ姿を見たので、自分も何かを作る際に参考にしたいです。

 

保育に大切なコミュニケーションの場を作る

黒木さん:ワークショップの事前準備を含めて吉祥寺0123に5回ほど足を運ぶ中で、施設の方と親子との距離が近いなという印象を受けました。また、この施設では年間を通してたくさんの行事があり、私たちの他にもボランティアスタッフや音楽団、劇団などによる様々な催しを毎月行っています。特に保育園や幼稚園にまだ入園していない子どもたちとその保護者の方にとって、家族以外の人とコミュニケーションをとれる場があることの大切さを感じました。

高阿田さん:ワークショップは私たちが紙芝居を読んだり、劇をしたりするのではなく、親子と一緒に関わりながら遊べる場を作りたいという思いがありました。当日は保護者の方とお話をして、保育支援施設の役割や求められていることを知る事ができました。保育者、保護者、子どもの3者が同時に関わる機会は少ないので、お互いのことを知る機会を作ることが保育支援のさらなる発展に繋がると思いました。

黒木さん、高阿田さんのお二人は代表として、この取り組みを「第5回Musashino SDGs Award」に応募し、見事「優秀賞」を受賞しました。この賞は本学のブランドステートメント「世界の幸せをカタチにする。」を実践する一つの方法として、SDGs を自分事化し、身近な社会環境問題の改善に貢献する優れた取り組みに送られるものです。

【関連リンク】

・武蔵野市立0123吉祥寺:http://mu-kodomo.kids.coocan.jp/0123/kichijyoji/index.html

 

 

担当者

  • 教育学部 幼児教育学科

    講師

    松田 こずえ

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