学生がタイの山村で国際協力ボランティアに参加
~貯水タンク建設、養蜂箱の製作などの支援活動を実施~

2024.04.26

法学部・法学研究科

  • 法学部 法律学科

    法学研究科

    佐俣 紀仁

取り組みについて

法学部法律学科 佐俣 紀仁准教授と法律学科3年生 富山 力羅さん、保田 幹太さん、法律学科4年生 長峰 智也さんの活動を紹介します。佐俣准教授と学生3名は、2024年3月10日~20日の間、タイのチエンマイ県内の山岳少数民族カレン族居住集落「バン・マイホエヒア」を訪れ、北タイ・アグロフォレストリー・センター主催の国際協力ボランティアに参加しました。現地では生活用水用のタンク建設、在来種ミツバチ養蜂箱の製作等の支援活動を行いました。

 

AFCのボランティアに参加した経緯

北タイ・アグロフォレストリー・センター(AFC)は、2023年4月に創設された任意の国際協力ボランティア団体で、タイのメージョー大学と連携して、北タイ山村でのボランティア研修活動を実施しています。この活動が目指すのは、現地住民が望む形で生活の質の改善に貢献すること、同時に、大学生等の参加者の人間的成長を促すことです。これまでに日本の名桜大学や大阪大学の学生がこのボランティア研修活動に参加してきました。今回は、AFCの前身となる活動に佐俣准教授が関わっていた縁で、佐俣准教授とそのゼミ生3名がAFCを通じてタイの山村に滞在しました。

AFCの活動については次の文献をご参照ください。富田 育磨、ピヤパン・ナンタ、小川 寿美子「ポストCOVID-19における国際ボランティアNGOの再稼働戦略―GONGOVAからAFCへのBuild Back Better」『ボランティア学研究』(国際ボランティア学会)Vol. 242024年2月)93頁以下。『国際ボランティア学』の購入・購読については以下のURLより国際ボランティア学会事務局までお問い合わせください。(https://www.isvs.jp/contact

 

活動内容

■生活用水用のタンク建設

「バン・マイホエヒア(BMHH)」では、山の湧水を直径1.0~1.5インチの塩ビ・パイプで各戸まで引いた簡易的な水道を使用しています。しかしこの水道には、安定した水量を確保しづらいという課題があります。そこでAFCの活動では、水源地と各家庭の中間地点に複数の貯水タンクを建設して、供給水量の安定化を図っています。貯水タンクは、山の斜面を削ってセメントで基礎を作り、その上にコンクリート・リングを積み上げて作ります。現地の専門家の指導の下、村人と学生とが共同して、全て手作業で進めます。

タンク建設の様子

 

■養蜂箱の製作等の支援活動

養蜂は、山村の方々にとって現金収入を得る重要な手段です。AFCでは、希望する村人に、在来種ミツバチ養蜂のための技術研修および養蜂箱の配布等を行っています。今回、学生たちは専門家の指導を受けながら養蜂箱の製作と修理を行いました。これらの作業は、貯水タンク作りと比べると腕力を必要としませんが、養蜂箱としての機能を損なわないような緻密さ(例えば、害虫が入り込まないように隙間を埋める)が求められます。

養蜜箱製作の様子

 

■作業の合間の交流

乾季、北タイの山中の気温は35℃を超えます。体調管理のためには頻繁に休憩をとることが必須でした。この休憩時間が、現地の方々との交流のまたとないチャンスとなりました。作業には現地の老若男女がお手伝いにきています。学生たちは、メモや単語帳を片手に、身振り手振り、時には歌や踊りも交えて、現地の方々との交流を楽しみました。

また、夕食後の団らんには、村の子どもたちが遊びにきました。絵を描いたり、折り紙を折ったり、日本語と現地の言語(パガニョー語)を教え合ったりと交流を深めました。

休憩時間での交流

 

 

コメント

富山 力羅さん(法学部法律学科3年生)

未経験の場所で生活することに、最初は不安を感じていました。しかし、少しずつ村の言葉を覚えながら会話を続け、少しずつ馴染んでいきました。貯水タンクや養蜂箱を作るのは、私にとってははじめてのことでした。実際にその村で生活して、これらが村人にとって重要なものなのだと気づきました。現地で必要とされているものを現地の人たちと作ることに、一生懸命取り組めたと感じています。

 

保田 幹太さん(法学部法律学科3年生)

村に到着したばかりの頃は、言葉も通じない、未知の場所ということで緊張していていました。しかし、村の人たちは、明るく話しかけてくれたり、一緒にバレーボールをしようと誘ってくれたり、仕事中も色々なコツなどを教えてくれたりと、優しく接して下さいました。おかげで少しずつ緊張もほぐれ、楽しく充実した最高の10日間があっという間に過ぎました。最終的には、村は、ここでずっと生活したいとまで思える場所になっていました。さらに、村を離れる日、村の人たちは涙で別れを惜しみ、「また戻っておいで」と私たちを抱きしめてくれました。改めて、自分たちが村の一員として受け入れてもらえていたのだと実感し、胸がいっぱいになりました。

私は元々休むことが苦手で、いつでも全力で仕事をすることが当たり前だと思っていました。しかし、村の人たちが休みながらも楽しく働く様子を見て、素敵な働き方だなと思いました。自分の中での働き方への考え方もまた、変化していきました。

次回はもっとたくさんのことを学び吸収できるように、そして村の人たちと会話や遊びなどを通して交友を深められるように、タイ語やパガニョー語の勉強を頑張りたいと思います。

 

長峰 智也さん(法学部法律学科4年生)

私はこのAFCのボランティア研修活動に参加して自身の成長を実感できました。当初は日本とは全く異なる環境下で、さらに言葉の壁もあり、村に馴染めるか不安がありました。しかし、村の皆さんは言葉のわからない私たちを暖かく出迎えてくれて、たくさんの言葉を教えてくれました。また自分からも覚えたパガニョー語を使って積極的に話しに行ったことでさらに交流を深めることができました。村人や、共にAFCに参加した仲間たちと雄大な自然の中、朝昼は汗を流して働き、夜はたくさん語り合ったことで、とても充実した日々を送ることができました。私はこのAFCの活動で、積極性や好奇心を身につけられたと感じていて、参加して本当に良かったと思っています。

 

佐俣 紀仁准教授(法学部法律学科)

AFCの活動では、現地の方々のペースに合わせて、また、彼らが希望する形での発展のあり方を模索するという理念を掲げています。山の恵みや生態系を守りながら(SDGsゴール15)、山村での生活の質を向上させる活動(SDGsゴール6、11)の折々で、山と共に生きるためにカレン族が蓄積してきた知恵や経験(local wisdom)を学ぶことができました。

また、たった1週間強の期間ですが、学生たちはめざましく逞しく成長しました。未知の外国語でのコミュニケーション、さらに普段とは異なる生活環境、多様な価値観に柔軟に適応して、新しい経験への挑戦を日々楽しんでいました。

有意義な経験ほど人を奮起させるものはないと、改めて痛感いたしました。学生がこうした経験に出会えるような機会を、これからも作っていきたいと思います。

担当者

  • 法学部 法律学科 法学研究科

    准教授

    佐俣 紀仁

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