人・地域・時代をつなぐ「ストリートファニチャー」で街の活性化を目指す
~建築デザイン学科のプロジェクト作品を横浜市の関外地区「吉田町通り」に設置~

2024.04.19

  • 工学部 建築デザイン科

    太田 裕通

取り組みについて

工学部建築デザイン学科太田 裕通講師と学生8名のプロジェクト「デザインま(工学部建築デザイン学科 あわいDEカタチプロジェクト)」を紹介します。本プロジェクトでは、学生が街の活性化を目指した「ストリートファニチャー」をデザインし、「第6回 まちを楽しくするストリートファニチャーデザインコンペティション」で優秀賞を受賞しました。また受賞作品を2023年11月21日〜12月5日の間、横浜市中区吉田町通りに設置しました。

※道路や広場など屋外の公共空間に設置される家具などの総称

 

「第6回 まちを楽しくするストリートファニチャーデザインコンペティション」について

このコンペティションは横浜市の関内・関外地区にある「伊勢佐木商店街」「吉田町通り」を活性化するための取り組みです。テーマの『つなぐ』に沿ってデザインされた184点の応募作品の中から8作品が1次審査を通過し、7月29日に横浜市役所アトリウムで開催された公開審査の結果、3点が優秀賞に選ばれました。「デザインま」が制作したストリートファニチャー作品「えんつなぐ―吉田町通り-花咲かすプロジェクト-」も優秀賞を受賞し、2023年11月21日〜12月5日の間、作品を横浜市中区吉田町通りに設置しました。

プレゼンテーションの様子

 

えんつなぐ―吉田町通り-花咲かすプロジェクト-」の活動ついて

■プロジェクトの経緯

建築デザイン学科では、教員と学生が一緒に取り組むプロジェクト授業を行っており、太田講師が主催する「あわいdeカタチ」プロジェクトは「社会のあわいでデザインする!」をモットーに、実社会でのデザイン実践を行っています。本コンペは、受賞作品を実際に設置できることが特徴であり、プロジェクトないで「ぜひやってみよう!」と挑戦することになりました。

※向かい合った二つのもののあいだの空間、間隔や相互の関係を意味する大和言葉

完成した作品(全8点)

 

■活動内容

学生はまず、横浜市中区吉田町通りの敷地調査を行いました。横浜市中区吉田町は関外に位置し、野毛町と伊勢佐木町という2つの歓楽街を繋ぐエリアです。吉田町通りはその真ん中を貫く約200mの商店街であり、ストリートに面して生鮮食品店や飲食店だけでなく画廊、画材店、写真店などアート関連の専門店も並びます。

敷地調査では「下駄履き住宅の味わい深さ」、「店舗と屋外環境のつながり」、「昼と夜で異なる表情をもつ」などを実感しました。その中でも、既にストリートファニチャーとして地域に馴染んでいる親子のような大小2個1のボラード(以下:親子ボラード)に着目しました。

吉田町通りの様子

 

ボラードに腰掛ける様子

 

次に作品のコンセプトを定め、制作を開始しました。今回のコンセプトは「既にある地域環境に+αする操作」、「店舗に合わせて造作し通りに一体感を生むデザイン」です。ボラードに絡まりつき、お店や通りの環境に応じて展開するストリートファニチャー作品の制作に挑戦しました。ファニチャー作品は24mm厚の合板からプラモデルのように様々な形で切り出し、吉田町通りにまるで花を咲かせるように配置しました。

設計の様子

 

提出したプレゼンテーションボード

 

作品の紹介

Furniture1

 

Furniture2

 

Furniture3

 

Furniture4

 

Furniture5

 

Furniture6

 

Furniture7

 

Furniture8

※設置後にプロジェクトメンバーがモデルとなって写真撮影しました

 

地域における「ストリートファニチャー」の役割

作品設置後は複数の利用者が見られました。期間中に開催された吉田町通りのイベントでも各ファニチャーが多いに活用されていました。使われ方としては複数人で腰掛けて会話や荷物置きとしての利用、子どもたちの遊び環境としての利用など、実際に設置したからこそ確認できたものもありました。吉田町通りに面する店舗の数名の店主からも好評のフィードバックをいただき、2024年の5月及び夏季に再設置が検討されています。元々地域の人々が軽く腰掛けるファニチャーとして機能していたボラードに+αするデザインによって、座るという行為のバリエーションの増加だけでなく、それ以外の利用法を地域の人々に提供することができました。

また、今回の作品は既存の円形ボラードに寄り添う形で制作したため、「円」を多用しました。通常、曲線は端材が多くなりがちですが、円形を切り出した際に余った部分も脚や支えアーチなどに活用することで、ゴミとなる部分を極力減らす設計に工夫しました。加工はレーザーカッターによってほぼ図面通りに部品を出力し、組み立てと塗装作業は学生同士協力しながら行いました。

今回のプロジェクトは2023年11月17日、「Creating Happiness賞」を受賞しました。この賞は2016年に大学ブランドの発表と武蔵野大学しあわせ研究所の設立を機に創設された賞で、日々の生活の中で実際に幸せをカタチにした教職員や学生に贈られるものです。

授賞式が偶然設置日と重なったため、別日で集合写真@横浜

 

【関連リンク】

担当者

  • 工学部 建築デザイン科

    講師

    太田 裕通

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