アートの力で人々をつなぎ、おしゃべりを楽しみ、お互いを認め合い、支え合う社会を目指す
~障がい者アートの市民芸術祭「アートパラ深川2021」での取り組みについて~

2022.02.18

グローバル学部・言語文化研究科日本語コミュニケーション学科法学部・法学研究科政治学科

  • グローバル学部 日本語コミュニケーション学科

    神吉 宇一

  • 法学部 政治学科

    後藤 新

取り組みについて

2021年1022日~31日の期間、東京都江東区深川地域で開催された「アートパラ深川2021」での学生たちの取り組みを紹介します。

「アートパラ深川」は障がい者アートに触れる機会を提供し、そのアートを通じてさまざまな人が共に生きる社会を実現することを目指す芸術祭です。2019年の秋、地域住民が手弁当で「一般社団法人アートパラ深川」と「アートパラ深川実行委員会」を立ち上げ、202011月に初開催し、7万人超が来場しました。

2回目の開催となる「アートパラ深川2021」では約万人が来場し、武蔵野大学グローバル学部日本語コミュニケーション学科の神吉宇一准教授とゼミ学生5名、法学部政治学科の後藤新准教授とゼミ学生9名が企画・運営に携わりました。

 

 

アートパラ深川とのきっかけ~2020年の取り組み

2019年の9月に日本語コミュニケーション学科神吉ゼミ、政治学科後藤新ゼミ、建築学科松田達ゼミ(当時)の三つのゼミが合同で、江東区森下の高橋商店街秋祭りのお手伝いをしました。この秋祭りの際に、神吉准教授と旧知の深川地域在住の方が話をする機会があり、アートパラ深川への協力を打診されました。

 

 

そこで2020年に神吉ゼミが、ゼミのプロジェクトの一つとして取り組み、公募展入選アーティストに来場者がメッセージを書いて送る「アーティスト向けメッセージ企画」、公募展入選作品を使って対話的なアート鑑賞を行う「オンラインアート鑑賞ワークショップ」を実施しました。(詳細はこちら

 

 

アートパラ深川2021での学生たちの取り組み

2021年度は神吉ゼミ、後藤ゼミで主に3つのことに取り組みました。

2021年には後藤ゼミも加わり、二人の教員と各ゼミの学生がアートパラ深川実行委員として活動しました。2021年もコロナ禍が続き、当初、対面で準備していた多くの企画が中止になりましたが、そのような状況下でも学生たちは2020年と同様に「オンラインアート鑑賞ワークショップ」「公募展のメッセージ企画」「墨東特別支援学校の生徒の校外学習支援」という3つの企画に携わりました。

 

①オンラインアート鑑賞ワークショップ

2020年度に引き続き、株式会社フクフクプラスにコンテンツを提供してもらった上で、学生2名が2カ月ほどファシリテーションのトレーニングを行い、ワークショップを実施しました。神吉ゼミの学生が所属する日本語コミュニケーション学科の特性を活かして、2021年度は海外の日本語学習者に積極的に参加してもらうように広報を行いました。その結果、計6回延べ26名がアメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、タイ、イギリス、スイス、スロベニア等世界各地から参加しました。

 

学生がファシリテーションを行い、オンラインで世界中の人とアート鑑賞ワークショップを実施

 

 

 

②アーティストへのメッセージ

2020年の取り組みをさらにバージョンアップさせるため、2021年度は江東区にある六三印刷株式会社の全面的な協力のもと、ポストカードを約3万枚印刷するとともに、来場者が「いいねシール」を貼る台紙とシールも用意しました。シールを貼るために、会場内の作品を何度も見て回る来場者が多く、通常の芸術祭よりもじっくりと鑑賞してくれた方が多かったように感じました。またオンライン上でメッセージを入力できるようにTumblrのサイトも開設しました。

 

六三印刷株式会社の協力のもと、アート作品を印刷した約3万枚のポストカードを印刷

 

来場者一人につき「いいねシール」各5枚を用意

 

来場者が気に入った作品の台紙に「いいねシール」を貼れるようにした

 

来場者にプレゼントするポストカードに記載のQRコードから、アーティストにメッセージを送れるようにした(https://artparafukagawa2021.tumblr.com/)

 

 

③墨東特別支援学校の高等部校外学習の引率

コロナ禍により校外学習等がすべて中止になっていた墨東特別支援学校の高等部3年の生徒を芸術祭に招き、実行委員と学生たちで芸術祭の紹介・引率等を行いました。また、校外に出られない他学年向けに校外学習の様子をオンラインライブ配信して、校内からも見学できるようにしました。

 

芸術祭の引率のほか、校外に出られない生徒向けに校外学習の様子をオンラインライブ配信した

 

 

SDGsにおける「誰一人取り残さない」という基本的理念に対して、本取り組みを通して実感したこと

神吉 准教授

本取り組みを通して、地域の人たちとのネットワークが広がり、また強まりました。「誰一人取り残さない」地域づくりのためには、さまざまな立場の方が領域・専門を超えて地域づくりに関わることが重要だと思います。社会福祉関係、商店会、大小の企業、町会の方、まちづくり、防災など、つながりのできた多様な方々と協力して、今後も地域貢献を進めていきたいと考えています。

 

後藤 准教授

初めて障がい者の方たちのアート作品に触れましたが、その感性の素晴らしさに心から感動しました。また、本イベントにかける実行委員やボランティアの方々、学生の熱意にも大変感銘を受けました。その一方で、アートにおいて障がいの有無は関係あるのだろうかとの疑問も生じました。「誰一人取り残さない」社会とは、どの様な社会なのだろうか。自分なりの問題意識を大切にし、自分にできる貢献を続けていきたいと思います。

 

学生(神吉ゼミ 中屋 千宙さん・原 結依奈さん)

オンラインアート鑑賞ワークショップでファシリテーターを努めました。本番前は2カ月半ほど練習を重ね、多くの方に練習に参加してもらいコメントいただきました。練習から本番にかけてファシリテーションの意味を何度も考え直しました。本番では参加者同士の対話が活性化しただけでなく、私たち自身もたくさん学ぶことがありました。コミュニケーションの大切さを改めて感じる貴重な経験となりました。

 

学生(神吉ゼミ 濱田 夏帆さん)

墨東特別支援学校の皆さんを富岡八幡宮・深川不動堂を中心に案内しました。当日現地に来られなかった高等部の2年生や中等部・小学部の子どもたちにオンライン配信も行いました。この活動を通して、障がいについて知ることも大事だけれど、子ども一人ひとりについてよく知ることが大切だと強く実感しました。

 

学生(後藤ゼミ 蒲生 遼天さん):

メッセージプロジェクトとして入選作品の投稿とポストカードの作成を担当しました。コロナ禍での開催ということで、アーティストに来場者の声を届けるために、Webサイトと紐づけたポストカードを作成し、来場者に配布することとなりました。多くの方から反応をいただくとともに、その架け橋となれたことを非常に嬉しく思います。

 

 

紹介

■メンバー

・神吉ゼミ(武蔵野大学 グローバル学部日本語コミュニケーション学科)

実行委員:中屋 千宙・濱田 夏帆(墨東特支の引率も)・原 結依奈

墨東特別支援学校生徒の引率:天野 莉桜子・チョウ カレナ

 

  • 後藤ゼミ(武蔵野大学 法学部政治学科)

実行委員:秋元 南波・梅山 幸輝・大宮 舞・小山田 檀・蒲生 遼天・永井 元貴・藤井 恵礼奈・吉田 史尊・渡辺 悠斗

 

■関連リンク

  • 武蔵野大学グローバル学部日本語コミュニケーション学科ホームページ

https://www.musashino-u.ac.jp/academics/faculty/global_studies/japanese_communication/

 

  • 武蔵野大学法学部政治学科ホームページ

https://www.musashino-u.ac.jp/academics/faculty/law/political_science/

 

担当者

  • グローバル学部 日本語コミュニケーション学科

    准教授

    神吉 宇一

  • 法学部 政治学科

    准教授

    後藤 新

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