タワーマンションの手作り農園から住民のつながりをつくろう

2020.07.31

工学部・工学研究科・環境学研究科環境システム学科

  • 工学部 環境システム学科

    明石 修

この取組は、工学部環境システム学科の学生2名を中心に、東京・晴海のタワーマンション管理組合とマンション住民、近隣地域の住民の協力を得て実現した活動です。SDGsの達成目標(2.11)を共通理解として、パーマカルチャーの理念と絡めながら手作り菜園を介したコミュニティ形成を図りました。

 2019年3月にタワーマンション敷地内の一区画を利用した菜園の運営をスタート、4月からは環境プロジェクトという授業内で本格的な活動を開始しました。この菜園がくまの形に見えることから、『くまさん農園』と名付けられました。

 毎月、農園の周辺でイベントを学生主体で企画運営し、毎回20人程、お年寄りの方からお子さんを連れた親子まで、多世代の方に参加していただきました。また、イベント毎にチラシを1600部作成し、マンション各戸へ投函することで告知を行いました。アイスブレイクやポットラックを交えることで、回を重ねるごとに住民同士での会話も自然と生まれるようになり、コミュニティの基盤が完成しました。はじめは普段関わることのなかった住民や地域の方々の間にも和やかな空気がうまれ、とても居心地の良い空間が醸成されていきました。

 実際のイベント内容は5月には夏野菜の植え付け・くまさん農園の看板作り、6月には家庭菜園に関するワークショップ、7月には野菜、植物の観察・野菜のネームタグ作り、8月にはくまさん農園夏野菜の収穫祭、9月には秋冬野菜の植え付け、12月にはくまさん農園秋冬野菜の収穫祭を行いました。10月~11月は、くまさん農園を定期的にお世話する水やりチームの立ち上げなど、日常に根付いた取り組みを行い、住民の方々が主体となってサイクルできるような自立したコミュニティの形成を目指しました。

 当初はくまさん農園での活動は半年間という期間が設けられた中での活動でしたが、少しずつこの活動がマンションや地域住民の方々から支持されたことにより、活動の延長が決定。同時に、農園の拡張も認められました。

 SDGs 11は「住み続けられるまちづくりを」という理念です。活動前のタワーマンションでは、マンション内や周辺住民との繋がりが稀薄で挨拶も少なく、ゴミのポイ捨てなど、住民のマナー違反が目立つという問題を抱えていました。そんな中、くまさん農園の活動が大きくなるにつれ、そういった問題も少しずつ解決に向かう兆しが見られ、学生も地域コミュニティの大切さを実感することができました。

 「都会のマンションで多世代が理解を深め交流し幸せを感じる菜園とは?」という問いを考えるべくスタートしたプロジェクトは、多くの方々に支えられている農園の活動を通して「年齢層に空きのない多世代のコミュニティ形成により、活力のある温かい居心地を持続的に循環させる菜園」という答えを導き出しました。

担当者

  • 工学部 環境システム学科

    准教授

    明石 修

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