食を通して多様性と持続性を考える地域連携SDGsイベント
~サメ肉専門店・障がい者就労支援施設・学生養蜂プロジェクトチームと協働した取り組み~

2023.03.01

グローバル学部・言語文化研究科日本語コミュニケーション学科工学部・工学研究科・環境学研究科環境システム学科

  • 工学部 環境システム学科

    明石 修

  • グローバル学部 日本語コミュニケーション学科

    神吉 宇一

取り組みについて

グローバル学部日本語コミュニケーション学科の神吉 宇一准教授と学生6名が企画し2022年12月12日に実施した「サメとハチがやってくる~食を通して多様性と持続性を考えるSDGsイベント~」の取り組みを紹介します。

今回のSDGsイベントにおける地域連携は、2020年から神吉ゼミが取り組んでいる障がい者アートの市民芸術祭「アートパラ深川」 から江東区地域のネットワークが構築され、実現したものです。

 

取り組むまでの経緯

神吉ゼミの学生(以下、「神吉ゼミ生」)は、2021年に全学の学生を対象にした食の多様性に関する調査を行い、食に制約のある学生は文化や信条といった様々な理由でキャンパス内での飲食が十分にできていないという課題を把握しました(※)。

そこで神吉ゼミ生は「共生社会」、「持続可能な社会」、「誰ひとり取り残さない武蔵野大学」の実現に向けて、学生及び教職員が多面的に食の課題を知るきっかけとなるよう本イベントを企画・実施しました。

 

食の多様性に関する調査報告書(PDF)

 

取り組み内容について

イベントは「共生社会の実現」「多様性」「持続可能性」をテーマとして掲げ、参加者全員が①本イベントの趣旨やテーマに関する5分のミニレクチャーを受講した後、②各テーマに関する「食」を通して各テーマを体感するという構成で進めました。

※本学しあわせ研究所の助成のもと実施(レクチャーの資料代として200円を参加者から徴収)

※当日配布資料(PDF)

 

■多様性・持続性に関するミニレクチャー

当日は用意したパネルを用いて、今回のイベントに賛同した専門店・団体がどのように共生社会、多様性、持続可能性と関連があり、取り組んでいるのかを参加者に紹介しました。また合わせて食の多様性(ベジタリアンの種類、ヴィーガン等)についても紹介し、信条や文化を理由にキャンパス内での飲食に制約を感じている学生がいることを伝えました。

 

■食を通して各テーマを体感

①宮城県気仙沼市の未利用魚サメ肉専門店「SAMEYA」のサメバーガー

日本のサメの9割が水揚げされる宮城県気仙沼市でヒレ以外の部分が活用しきれていない課題に対して、「SAMEYA」が取り組んでいます。

今回、フカヒレ以外の部分が活用しきれていないフードロスについて考えてもらうため、SAMEYAの「サメバーガー」を学生に配付しました。SAMEYAは「多文化」と「海の資源を守る」という思いからキッチンカーで販売を行っており、様々な料理にアレンジ可能なサメ肉のおいしさや価値を体感する機会となりました。

 

②江東区の社会福祉法人おあしす福祉会「オアシス・プラス」の弁当

オアシス・プラスでは、障がいがあっても地域で当たり前に生活でき、自らの望む人生の実現に向けて歩めるよう、就労継続支援(B型)として弁当の製造・販売をおこなっています。

今回、本学有明キャンパスの屋上菜園で栽培した小松菜を使用した特注弁当を用意していただき、配布しました。弁当の売り上げが障がい者に渡ること、弁当製造時に出た生ごみが同菜園の肥料として活用されること、同菜園の野菜が弁当に使われていること、それぞれが循環していることを知ってもらえる機会となりました。

 

③本学工学部環境システム学科生のプロジェクトチーム『Rooftop bee』の養蜂ハチミツ

工学部環境システム学科では、学生が自ら見つけた課題に対して計画、行動し、実現するといった課題解決型授業「環境プロジェクト」を実施しています。その1つである「Rooftop Bee」は、環境問題やサステナビリティについて多くの人に広めることを目的に2014年6月からミツバチの生態観察や保護、養蜂活動を有明キャンパス屋上で行っています。

今回、採蜜した無添加・非加熱の栄養価高いはちみつ「やさしい革命」を配布し、都会で人と自然が共に豊かになる関係をサステナブルな方法で築くことができることを知ってもらえる機会としました。

 

この取り組みをふりかえって

■神吉准教授

食べるってとても大切だと思いますが、そのことに不自由を感じている学生がいて、なんとかしたいよねというのが取り組みの出発点でした。SDGsっていろんな目標がありますが、私自身は「誰ひとり取り残さない」という基本理念がもっとも重要だと思っています。学内に一人しかいない人も取り残されない、そういう大学になるといいなと思っていますし、そういう大学にしていくために、一人ひとりが行動を起こしていくことが重要だと考えています。

今回、おかげさまで学内イベントも大盛況のうちに終えることができました。イベント実施にあたり、多くの方のご協力をいただきました、ここに記して感謝します。ありがとうございました。

 

和田 啓渡さん(グローバル学部日本語コミュニケーション学科4年 神吉ゼミ所属学生):

今回、イベントを通して食の多様性を知ってもらうきっかけとしては良かったと感じています。ミニレクチャーの資料だけをもらいに来た学生、他学科から本イベントに携わりたいという思いで運営に協力してくれた学生もいました。これをきっかけに食の多様性について参加者の興味や理解が深まることでマイノリティではない形に変わっていくことができればと思います。

 

■人間科学部人間科学科2年 イベント参加学生:

今回のイベントでは食の多様性について知ることができました。今後、留学生へのボランティアをする際は、留学生の食文化についてももっと興味を持って話してみようと思います。また学内での多文化理解を深めるために、各国をテーマにしたアジアンメニューやハラル食に対応したメニュー等が食堂で提供できれば楽しみながら理解を深めることにつながるのではないかと感じました。

 

当日、ミニレクチャー受講後に各テーマの食を受け取る様子

 

さいごに

■メンバー紹介:

グローバル学部日本語コミュニケーション学科3・4年生
和田 啓渡、水落 圭杜、チョウ カレナ、張 念祖、ズイキン、柳田 裕己采

 

■武蔵野大学日本語コミュニケーション学科HPhttps://www.musashino-u.ac.jp/academics/faculty/global_studies/japanese_communication/

■神吉ゼミTwitterhttps://twitter.com/uichi_zemi

■神吉ゼミInstagram: https://www.instagram.com/u1semi_5th/

■サメ専門キッチンカーSAMEYA HPhttps://sameyafoodtruck.wixsite.com/-site

■社会福祉法人おあしす福祉会HPhttp://www.oasisfukushi.or.jp/

担当者

  • 工学部 環境システム学科

    准教授

    明石 修

  • グローバル学部 日本語コミュニケーション学科

    准教授

    神吉 宇一

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